
コルトのタイミングベルト交換をしたい方も、そうでない方も、皆様ごきげんよう。今回はコルトの納車整備(?)ということで、ぼちぼち劣化してきていたタイミングベルトの交換+αの整備を行いました。
近年で一番苦戦した整備ですので、我々の苦悩の供養のために、そして同じ苦しみを味わう人が一人でも減りますようにぜひとも読んでくださると幸いです。
今回はタイミングベルト交換がメインではあったものの、お品書きとしては
は過去に自分が乗っていたコルト、ミニカのタイミングベルト交換をDIYで行っていて、今回が人生三度目のセルフタイベル交換となります。前回のコルトのタイミングベルト交換の際にはクランクプーリーが500Nmクラスのインパクトでビクともせず、LSD入りミッションとミッションを交換する際にフライホイールでクランクの回り止めを行ったいや~な思い出があります。要するにタイベル交換のためにミッションを下したわけです。とはいえ規定トルクは200Nm弱。今回はリバース700Nmのエアインパクトがある環境なので大丈夫でしょう、という甘ちゃんな読みで二回目のタイベル交換に取り掛かりました。
なお、前回も今回もこちらのみんカラと整備ROMのプリントアウトを参考に作業しています。
まずはジャッキアップしてから右前輪を取り外し、インナーフェンダーにあるメンテナンスハッチを開けて、補機ベルト2本を外します。コルトの場合はオルタネーター・ウォーターポンプを回しているベルトが1本、エアコンを回しているベルトが1本あります。前者はオルタネーターで、後者はそれ用のテンショナープーリーでテンションをかけています。どちらもロックボルトを緩めてボルトを回してオルタネーター・テンショナーをズラして取り外します。
エアコンのテンショナーはしっかり目視できるので苦戦する要素はないと思いますが、オルタネーターはそれ自体が固着していることがありボルトを緩めても本体がついてこないことがあります。その場合はメンテナンスハッチの下側からうまいこと殴って動かします。今回はその必要はありませんでした。

取り外したエアコンベルト。ヒビ割れなどはなく、まだまだ元気そうです。

こちらはオルタネーターベルト。こちらもまだまだ元気そうですので、しばらくは交換しなくても大丈夫そうです。
今回はウォーターポンプを交換しますので、先んじてクーラントを抜いておきます。ラジエーターにあるドレンを緩めるとクーラントが抜けますので、バケツで受けます。

ちょうどドレンが隠れる画角ですが...。プラスチックのよくある形状です。まともなガイドがあるので飛び散ることはありません。
クーラントを抜いている間にエンジンマウントを取り外します。エンジンマウントが外れるとエンジンミッションが一気に傾くことになりますので、先に木っ端を載せたジャッキでオイルパンを支えておきます。
エンジンマウントはナット4か所、ボルト2か所の6か所で留まっています。全て14mm、エクステンションをつければラチェットはきれいに入ります。このあたりの作業性は横置きといえどさすが日本車です。まじめまじめまじめですね。

写真に映っている5か所のほか、バルクヘッド側の死角に1か所ボルトがあります。

取り外したエンジンマウント。もう少しやせたモノが出てくるかと思いますが素晴らしい耐久性ですね。手で持ってもほとんど劣化を感じませんでした。
続いてタイミングベルトのアッパーカバーを取り外します。アッパーカバーはボルト4箇所、全て10mmです。1/4のコマとラチェットなら十分手は入りますね。

先んじてこのあたりのカプラーは取り外しておきます。上流のO2センサやクランク角センサ、エアコンプレッサーのハーネスが固定されています。

アッパーカバーを外すと、いよいよタイベルとご対面です。コルトの4G15の場合はインテーク側カムシャフトに可変バルブタイミング機構が装備されているので、スプロケットの見た目もエキゾースト側とは異なっています。
次に外すのがウォーターポンププーリーです。上の写真に写りこんでいますが、ここは簡易的な回り止めを行って10mm4箇所を緩めます。

エンジンマウントのボルトを1か所はめて、長めのボルトで簡易的な回り止めをします。ボルトは浅めの1/4コマとラチェットなら手を入れて回すことができます。
外すのは容易ですがプーリーを外す隙間がかなり小さいので、エンジンを支えているジャッキを上下させたり、エンジンを手で揺らしたりして下から抜き取ります。
今回の整備の一番の鬼門でした。実に9時間の格闘でした。
とはいってもアプローチを考えたり使えそうな工具や廃材の類を探したり、すっかり絶望してスマホをポチポチしている時間が圧倒的に長かったので実際の作業時間はそこまでではないですが...。
まずはエアインパクトでアプローチをかけますが失敗。700Nm以上のトルクが必要なことが発覚します。
続けてラスペネを吹いて浸透を待ちますがこれも失敗。さらに長時間炙ってみますがこれも失敗。

炙られるクランクプーリーのボルト。この一連の破壊行為によってボルトの頭が変形してしまい、一時的に19mmのコマすらも入らなくなりました。ただひたすらにヤスリで成型する時間もかなり取られた記憶があります。
手で回す方向に切り替え、廃ベルトによる回り止めを試みますがこれも失敗。
か
どちらかがパワー負けする事態となります。いろいろと手持ちのモノで工夫してトルクをかけようとしますが、最終的にはベルトが滑ってしまいます。
セルを回してみますが、セルモーターのトルクがプーリーに負けてクランクが回ってしまいました。
前回ミッションをおろして解決しているのでミッションにアプローチをかければ解決することはわかっていましたが、できればやりたくなかったのでとにかくあれやこれやを試しました。
しかし、どうすることもできず日が暮れてしまったので急遽ミッションオイル交換を工程に加え、ミッションを下すことを決意しました。それが19時くらいだったと思います。20時に閉まるコメリに滑り込み、GL-4のギアオイルを購入。
ということで、クランクプーリー外しを目指して大きな回り道をすることが決まりました。
回り道としてまずはミッションオイルを抜いていきます。まずはフィラーキャップが外れることを確認しますが、コレがまたなかなか絶妙な場所にあります。フィラー・ドレンともに8mmHEXですので8mmHEXのコマを用意し、それに首振りジョイントとエクステンション2つを連結させると、左側ドライブシャフト脇からアクセスすることができます。ナメるのが怖いのでまずはコマ単体を素手でしっかりキャップへはめ込み、そのあと上述のヤツらを連結させます。
フィラーが回ることを確認したのち、ドレンを緩めてギアオイルを抜きます。あいにく写真はありませんが、おそらく12万km無交換だったのではないでしょうか。泥のようなグロい感じのオイルが出てきました。もともとは予定していなかった作業ですが、今回やっておいて良かったと思います。
ギアオイルが抜けきるのを待つ間、ミッションに上側からアクセスできるように邪魔なものをバラしていきます。コルトは横置きエンジンでは典型的なミッションの上部にインテークを配置した構造ですので、
あたりを外します。
ついでに、クランクプーリーを緩める際にブレーカーバーを回すストロークを確保するためにフロントバンパーも外しておきました。

フロントバンパーを外したミッション側。見えているものは漏れなく外していきます。

まずはインテークホースから。このあたりだけ写真がやたら多いです笑 作業していた
はあまりにもひどいインテークホースの固着でかなりの体力を消費しました。まだタイベルにアクセスしてないのに⁉

一通り外した状態。シフトリンケージが見えています。リバースギアセンサ、バッテリーのトレーに固定されているハーネス類も同時に破断させないように外しましょう。
続けてセルモーターを外します。ここで
、セルモーターを外した場所からフライホイールにアクセスしてクランクに回り止めをするアプローチを思いつきます。ミッションを下ろすまでやらなくても解決できるのではないか?という淡い期待を抱きつつ作業を進めました。

セルモーターは上下対角2か所の12mmボルトで留まっています。
セルモーターは取り付けボルトのほかにメインのプラス端子が一つ、小さな端子が一つがとまっているのでそれらも取り外します。アースは取り付けボルトの片方と共締めです。
セルモーターを外すと、ギアが噛むフライホイールのギザギザと、クラッチカバーの縁端部が見えます。ギザギザは細かいので、今回はクラッチカバーの凹凸に噛ませるようにしてマイナスドライバーを差し込みました。

拾い画ですが、クラッチカバーの縁端部には写真に写っているように段差があります。

こんな感じです。
万が一にもマイナスドライバーが砕けてハウジングの中に落ちるようなことがあれば、今度こそミッション下ろし確定です。そのため
がマイナスドライバーのしなりを観察しつつ、
が1.5mくらいまで延長したブレーカーバーでゆっくりトルクをかけることにしました。
じわじわトルクをかけていくと、バキッとボルトが折れたかのような音が鳴りました。普通は失敗したと思うような音ですが、
にとっては非常に聞き覚えのある音、聞き覚えのあるシチュエーションでした。
そう、無事クランクプーリーボルトが緩んだのです。
回り止めに使っていたマイナスドライバーやクラッチカバーも変形することなく終わりました。

諸悪の根源。マニュアルにはエンジンオイルを塗って締めこむように書いてありますので、今回はしっかり塗って締めさせていただきました。
ようやくクランクプーリーが外れたのが21時ごろ。すでに疲労困憊のため作業に全神経を集中させており、ここから先はびっくりするほど写真がありません。ただ、基本的な手順はここにまとまっているので改めて記すことも少ないです。
ロアカバーは8点でとまっているので一つずつ丁寧にボルトを外します。ロアカバーを外す際クランク角センサのコネクタが一緒に外れますので、まっすぐ引き抜きます。
ここで、タイミングベルトの位置を交換時の1番シリンダー上死点に合わせます。インテーク側スプロケット、エキゾースト側スプロケット、クランクの3か所に合マークがあるので、それらがすべて合う場所でとめておきます。
オートテンショナーはM8のボルトをウォーターポンプに差し込んで緩め、1.5mmの六角レンチをピン代わりに挿して固定します。ここでも締めこみすぎてボルトが曲がるなどのハプニングがありましたが、ボルトを外した状態でピンが挿さったので気にしないことにしました。
今回の個体はかなり固着がひどかったことや、オルタネーターとバルクヘッドの隙間という絶妙な空間に腕を突っ込んでの作業ということもあり、M8のボルトを差し込むのにも時間を要しました。
その後テンショナープーリーをとめている14mmを緩めるとベルトがたわむので、ちょっと頑張って外します。テンショナーのところから引きはがすのがコツのようです。逆に、組み込むときは最後にテンショナーにかけます。

タイミングベルトが外れた状態。見にくいですが、写真中央部のウォーターポンプの穴にM8のボルトをセットしてただひたすらに回してテンショナーを緩めました。

摘出したタイミングベルトの様子。しっかりひび割れているので、最悪の事態が起きる前に未然に交換できたのでしょう。
今回はテンショナー・アイドラも交換の対象ですのでそれぞれ14mmで取り外します。

テンショナー・アイドラプーリー新旧比較。新テンショナーが裏返しですね。
ウォーターポンプを取り外すのに、テンショナープーリーとオートテンショナーをつなぐアームも邪魔になります。そちらも取り外すとウォーターポンプを固定するボルト6本にアクセスできますので、漏れだしてくるクーラントに注意しながら取り外します。

新旧ウォーターポンプ比較。よく見るとプロペラ部分の構造が違います。
ウォーターポンプを交換し、テンショナー用のアームを取り付け、その先にテンショナープーリーを仮止めします。アイドラを取り付けたらいよいよタイベルの組付けです。
本来はカムシャフトロックツールで合マークがズレないように固定し、その状態でベルトを組むのがやり方だと思いますが、あいにくロックツールが手元にないので今回は
に気合いで固定してもらいました。クランク側は放置した状態でも合マークからズレなかったのでそのままにしておき、ベルトを組付けます。
この時点ではテンションがかかっていないので微妙な感じになりますが、いったんそのままテンションをかけます。本来はテンショナープーリーにSSTをかけてテンションをかけますがそちらもないので、今回は
にタイヤバーの柔らかいグリップ側でプーリーを押し込んでもらいました。その際、アームがズレてしまうとテンショナーの意味がないのでアームは
が押さえておきました。
十分にテンションをかけた状態でテンショナープーリーを締めこみ、テンションのかかり具合とコマの様子を見ます。
簡単に書いていますが微妙にコマがズレたりテンショナーが緩かったりして、結構な回数やり直しました。
なお、コツと言えるかはわかりませんがテンションをテンショナーを固定する前にできるだけインテークとエキゾーストのカムプーリー間はできるだけテンションをかけておきましょう。その状態で作業するとテンショナーでちゃんとテンションがかかることと、インテークとエキゾースト間でズレが生じにくくなるのでオススメだと思います。

組んだ状態がこちら。ちゃんと組めれば合マークはしっかり合います。
オートテンショナーにさしこんだ六角レンチを取り外し、2周回して再度合いマークがズレていないことを確認します。
あとはとにかくすべてをもとに戻していきます。
ミッションオイルをサクションガンで注入し、タイベルカバーやハーネスを戻し、補機ベルトを組付け、エンジンマウントを取り付けます。
途中、タイベルロアカバーを戻す前にオートテンショナーに再度ピンが挿さるかを確認します。コマがズレないこと、時間をおいてもピンが挿さることが確実に組めているかどうかを確認する方法です。
最後にクーラントを入れ、試運転を兼ねて暖気しつつエア抜きして不足量を補充すれば作業完了です。
今回は上述の作業とは別に、購入した中古ホイールへの新品タイヤ組み込み、それへの交換を行いました。
お世辞にも今履いているスタッドレス用のホイールは格好よくないですし、タイヤの年数も経過していてコルトのパワーにはアンバランスです。
がエボ3純正ホイールを個人的な嗜好でおすすめしていたおかげで(?)、
が近いデザインのozの16インチホイールを買ってきてくれました。そのホイールに対しこちらも
と
のおすすめで、今回はNS20の純正サイズ新品を組み込むこととなりました。

ちゃんと組めてはいるのですが、軽点が微妙にズレています。難しい。

Before

After、さすがにコッチのほうが断然イケています。ホイール自体はちゃんとOZ製ですが、シルバーのモノを再塗装してあるようです。
見た目がよくなっただけでなく当然グリップ力も上がりますし、ロードノイズも静かになって高速域でのタイヤのブレ感も減りました。いいことづくしです。
過去に一回やっていたこともあり、その後の経験値の蓄積も含めてもう少し楽にできるかと思ったのですが...甘い読みでした。自分で言うのもなんですが、
が乗っているイタ車二台はどちらも継続してメンテナンスされ続けてきた個体のため固着らしい固着がほとんどなく、整備性そのものはさておきマニュアルを読みながら整備を進めればある程度スムーズにメンテナンスをすることができます。
一方今回のコルトは雪国出身ということもありパッと見はそれほどですが内部の錆がひどく、また頑丈であるがゆえにこれまでの13年間手が入ってこなかったところも多数あるようで、各部の固着がかなり深刻です。そのため至るところで体力と時間を食われ、また組み戻す際も一度ラスペネを吹いたり、余裕があればブラシで削ったりといったひと手間が必要になってきます。
はインテーク回りの分解とクランクプーリーの分解に特に苦戦しました。ゴム製の部品なのにもう完全に硬化しているため、破らないように気を付けながら隙間にマイナスドライバーを差し込み、徐々に力を加えながらひとつひとつ外す作業は本当に苦痛でした。同時に、部品を多少ラフに扱っても壊れないのは日本車の良いところだと思いました。
その結果今回の作業はトータル20時間というかなり大掛かりなモノになってしまいました。経験値を積んで面倒を見られる範囲が増えてきたぞ!と思っていたのですが、クルマに楽をさせてもらっていたことを痛感しましたね。
逆に言えば、整備性よりも固着のほうが負担が大きいとも言えます。イタ車は壊れる...とは
は思っていませんが、日本車だとその頑丈さゆえに少なからず乗りっぱなしの個体が少なくない気がします。現に
が乗っていたコルトも固着はまあまあ酷かったです。そう思うと、クルマの作りよりも状態のほうが買ってからの維持には大きく影響するよな...と実感しますね。
しかしコルトの場合、ウォーターポンプとタイミングベルトの同時交換で工賃は3万円いかない程度かと思います。ミッションオイル交換は2,000円程度、タイヤの組み込みで4本5,000円と考えると、今回の作業をお店でやっても工賃は4万円いかない程度ということになります。
工賃設定、安すぎやしませんかね...?(と思ってしまうので、ある程度の整備は
は主治医に投げてしまいます)

最後に、整備完了して
のノートと並んで撮った一枚。
は前日の夕方に手伝いに来たはずなのに気づいたら翌朝になっていました。不思議ですね。