
のテーマですが、納車記事に記載した通り各種メンテを経て35年落ちのイタリア車とは思えない状態の良さをキープしています。今のうちに細かいメンテナンスにも手を出しておき、10年、20年先も乗ることができるよう備えていきたいところです。
今回は冷間時のアイドル不良の改善に手をつけていきます。エンジンの暖機運転時の回転数変化は以下の通りです。
2~3で回転数が落ち込んだ際に稀にストールしてしまうことがあり、再始動すると確実に暖気完了までいけるものの決して気持ちの良いものではありません。古いユニットとはいえインジェクションが導入されECUでアイドルをチェックする機能のついているエンジンです。ここで「古い車だからしょうがないか~」とやっていると、蓄積された傷みが大きなトラブルにつながることもあり得ます。
まず仕組みを知らないことには不良の原因を予測することはできません。
にできる範囲でこの世代のエンジンにおけるアイドリング制御を調べてみました。残念ながら確実な知識とは言えないので間違っているところがあればご指摘ください...。

パーツリストからの引用。スロットルボディを挟んで、インテークホース側とサージタンク側を結ぶバイパス回路があり、その間にバルブ⑥が設置されている。
基本的に⑥のバルブの開度をECUの指示で変化させることでアイドリングを成立させています。冷間時は燃焼が安定しないためバルブを開けて空気を多めにバイパスさせ、インジェクターから燃料を多めに吹くことでアイドリングを維持します。現代車はスロットルバイワイヤを採用しているのでバタフライを直接制御することができますが、テーマはそれができないのでこういった制御になっているようです。
同様に、エアコンオンでのアイドルアップ、減速時のストール防止なども⑥のバルブの動作が担っているようです。
さて、そうなると冷間時のアイドル制御に噛んでいる要因は基本的に
また、ISCVが完全に動かないレベルで故障していた場合にはそもそもアイドリングが破綻するはずなので、購入・交換というのも焦燥な選択と言えそうです。
以上の事前勉強により、今回は⑥ISCVの摘出、洗浄を行います。
と、体裁のいい書き方をしましたが、実際はアイドル不良で最初にISCVを疑うようにというのはLancia Thema Owners' Clubの方から教えて頂きました。ありがとうございます。
はじめに、テーマのインテークはこんな感じの取り回しになっています。

エンジンルーム向かって右側の写真。
エアクリボックス上面から出てきた空気は現代車基準で考えるとかなり大型のエアフロを通過します。その先のパイプは潜りながらエンジンの前側に向かっており、タービンにつながっています。タービンのアウトレットはエンジンルーム下側にあり、縦長のインタークーラーの下から上へと抜けた空気は大きく蛇行した、オレンジで印をつけたパイプを通過してスロットルボディへと流れ込みます。

インタークーラーの見える画角で。赤く囲ったところに見えている蛇腹がインタークーラーです。
今回のターゲットとなるISCVですが、オレンジで囲ったあたりにあります。ハーネスとインテークのマウントになっているステーが上にあるのでこの写真だと見えませんが...。
色々と邪魔なので、各部取り外していきます。
インタークーラーの出口から繋がっているゴムホース、その先の金属パイプを外し、ハーネスをめくって金属パイプとエンジンヘッドをつなげているマウントを外します。
全てが微妙な角度についていて工具の取り回しには非常に難儀しますが、ホースバンドを外すマイナスと10mmだけあればバラすことは可能です。
10mm2本でエンジンヘッドに固定されているマウントを外すと、両側をホースで挟まれたISCVが現れます。ホースバンドを緩め、両側のホースを外します。

一通りバラしたところ。赤く囲ったものがISCVで、後ろにハーネスが繋がっています。
ISCVはさらに下のマウントに10mm2本で止まっています。コマにエクステンションをつけて回しますが、左側のボルトを外そうとするとプラグコードカバーと干渉します。HEX2本を外してプラグコードカバーを外してボルトを外し、カプラーを外すとISCV単品を摘出できます。

干渉するのは赤で示したボルトです。写真ではプラグコードカバーを外しているので、この状態なら取り外しが可能です。

摘出したISCV。おそらく長い円筒部分にサーボモータのようなものが入っていて、薄い円盤状の内部に仕込まれたオリフィスを作動させて絞り込むような構造だと思われます。

拾い画ですが綺麗な姿はこんな感じです。
摘出したISCVを洗浄します。この手の金属部品を洗浄するときにはおなじみ、キャブクリーナーでヘドロのような汚れを洗い流していきます。かなり強力なので、真っ黒に汚れていたISCVはかなり綺麗になりました。ちなみに上で貼った画像は洗浄後の姿です。
カプラーも噛んでいるので電装を破壊しないように気を付けながらしっかり乾燥させます。
なお、今回は乾燥を待つ間、見た目が不安な感じになっているアース線の端子交換を行いました。この個体はエンジンの載せ替えをした際に、おそらく今後のメンテナンス性を良くするためという目的でハーネスの引き直し、取りまわし変更が行われています。具体的には本来エンジンルーム下側を通っているはずの配線が軒並み上側を通るように改善されており、それに伴って多くの配線をエンジンヘッドにアースしています。また、電動ファンについてはバッテリーアースに変更されており、電動ファンのアースとエンジンヘッドへのアースのうちの1本がほつれているのが見えていました。その2本の端子を交換し、またバッテリーターミナルにアーシング用のステーを増設して電動ファンはそちらにアーシングしなおしました。

黄色で囲った配線が今回端子を交換したアース線です。線自体はまだまだ大丈夫そうだったのですが、どちらもゴム被覆に端子が噛まないようになっていたためその隙間で露出した線がほつれてしまっていました。
ついでに、多くのアースが集まっているエンジンヘッドからバッテリーターミナルへのアース線も追加しておきます。アーシングでパワーアップする...というのは正直オカルトのレベルだと思いますが、35年を経たボディが傷んでいないはずはありません。もとから配線も弱いイタリア車ですので、少しでも何かの予防になればと思っています。
さて、アーシングの作業を経て乾いたISCVを元に戻していきます。作業は逆手順ですが、やはり工具の取り回しには難儀します。

一通り戻した状態です。特にインテークはターボ車ということで強い圧力がかかるので、締め忘れがないよう確認しながら作業します。
一人で夜に作業したため写真がワンパターンですが、以上で作業は終了です。
作業完了後、冷間時のアイドルを観察してみました。
こちらが作業後の暖機運転で見られた回転数の変化です。まだハンチングしている時間があるので完全な本調子ではないと思いますが、清掃前よりは如実に良くなったと言えます。
今後ECUの学習変化によってさらに良くなる可能性、元に戻ってしまう可能性もあると思うので、継続して様子を見ていきたいところですね。
以上、ISCVの清掃とアーシング作業でした。やはりエンジン載せ替えからそれほど走っていないということもあり各部パイプが柔らかく、固着しているボルト類も全くなかったため全体的にはスムーズに作業が進みました。トータルで3時間弱くらいの作業時間です。暗い場所で一人でやっての所要時間なので、明るければ2.5時間くらいで終わったと思います。
ただ全体的に設計者の思慮不足とでも言うのでしょうか、ホースバンドを外すにはドライバーを入れる場所が必要とか、分厚いゴムホースは自由自在に曲がるわけではないとか、そういったことを考えていなさそうな部品の配置の悪さが目立ちました。工具の取り回しが難しい場面がかなり多く、エンジンルームの見た目と固着のない状態の割には苦戦した印象です(同じエンジンを二回り小さいエンジンルームに突っ込んだデルタの整備性、考えたくもないですね)。
今回の作業計画を立てている間にパワーシートの座面上下調整が故障するなどマイナートラブルの頻度は製造年相応ですので、引き続き色々手を入れていきたいですね。せっかく電動格納ミラーや室内時計がちゃんと動く個体なので、細かい電装品も動く状態を保っていきたいです。